濾過システムには大きく分けて二つの方式が有り、一つはウェット式、もう一つはドライ式です。ここでは普通にウェット式を取り上げています。

ここで濾過システムに付いての薀蓄(ウンチク)を
日本の観賞魚ブームの幕開けとなった、今や定番とも言える、底面式や上部フィルターシステムの発明。

底面式は昭和30年初頭、江ノ島水族館の初代館長、広崎博士が基本原理を発表し、その後、安価なプラスチィク製品が出回り、一時期熱帯魚ブームになったそうです。

※現在は地理的に遠くすっかりご無沙汰ですが、随分前は比較的近くに居たため、江ノ島水族館には色々お世話になっていました。子供にせがまれ衝動買いして買えなくなった魚など押し付け?とか、モナコ式って何なの?とか、イソギンチャクを定着させる方法はとか、ウルセイ奴って思われて居たかも・・・。

そして連絡用地下道、今はどうなっているんでしょう。子供がまだ小っちゃかった頃なので壁に描かれた魚の絵を喜んで見てました。真偽のほどは分かりませんが魚好きの絵の上手な少年(さかなクン)が描いたって聞いてました。

が、その後、底面式はメンテナンスが面倒との声に、メーカーは底面式の仕組みを水槽の上部で行う日本独自の方式を考案しました。当初の製品は試行錯誤状態で不具合も多く、すぐに消えたそうです。

そんな中、あるメーカーから今の上部濾過器が出て大変なヒット商品になり、今や観賞魚飼育の定番フィルター(上部濾過器)としてホームセンターなどのセット水槽に必ず付属しています。

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濾過とは
基本的には物理的濾過(ウールマット等)、生物的濾過(サンゴ砂等)、科学的濾過(活性炭等)
の三つあります。

■物理的濾過はウールマットなどで、海水中に含まれる比較的大きなゴミをこし取る事です。
勘違いして欲しくないのですが、これだけで濾過が出来ていると思わない事です。

■生物的濾過は物理的濾過(ウールマット等)でこし取れなかったゴミや残餌、魚の排泄物を生物(バクテリア等)が分解し有毒なアンモニア等が発生します。それをまた、生物(バクテリア等)が毒性の低い硝酸塩に変える事です。
(定期的な一定量の水換えが必要と言うのは、この硝酸塩が蓄積されるのを防ぐために必要と言われています。)

この生物的濾過が海水魚飼育ではいちばん重要になり、これなくして、海水魚飼育はありえません。

■科学的濾過は生物濾過を科学反応で行なったり、活性炭などの吸着素材で取り除く事です。

上記の濾過を自然界では山から川へ、川から海へ、波や潮流、食物連鎖などで上手くバランスを取っています。自然の濾過槽です。ちっちゃな水槽で、それをどう再現するかです。

これは昔ショップの方から聴いた話なのですが、水槽は常に綺麗な方がいいに決まってますが、濾過槽も綺麗にしたい人が居るそうです。確かに月日が経つと濾過槽は汚れて醜くなります。でも、それで良いのです。極端な話、常に濾過槽、濾材ピカピカ、バクテリアゼロ。水質を維持するの大変ですよ。

① 底面式濾過システム

低予算で広い濾過面積も得られ、コストパフォーマンスは優れていると言えますが、ある程度の知識がないとそれだけでやるのは難しいといえます。

何が面倒かと言えば、メンテナンスです。そう度々するわけではありませんが(私は殆どしません)、いわゆる濾材の掃除です。中粒のサンゴ砂だけの使用ならまだしも、最近はパウダー状のサンゴ砂の併用(好気性バクテリアや嫌気性バクテリアがどうのこうのと)もよく推奨されています。

私だったら、中粒のサンゴ砂とパウダー状のサンゴ砂、掃除したら絶対混ざっちゃいます。

めんどくせ~
です。

※下図はポンプ式ですが、小型水槽や安価な物ではエアーリフト式が一般的です。

② 上部式濾過システム

日本で開発され、ホームセンター等のセット水槽に必ず付いている濾過槽です。ショップオリジナルの海水魚用ならまだ良いのですが、通常のセットでは容量不足です。その場合は①の底面式濾過を併用すれば大丈夫です。

③ 外部式パワーフィルター

名前はパワーフィルターとパワフルそうですが、実際は非力です。やはり①か②のどちらかとの併用をお薦めします。ただし長所として、他の濾過システムに比べ非常に静かなため、適合水槽の1ランク、2ランク以上で使用されている方は結構います。エアレーションを忘れずに、使い方によっては酸欠になります。

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④ オーバーフロー式濾過システム

装置は大掛かりになりますが、非常に効率よく濾過面積が取れ、メンテナンスも楽に出来ますが、その分高額になります。

ここでの図は左にウールボックスが有るタイプですが、右でも一緒です。

三層式濾過槽には私なりのこだわりが有り、濾材は一か所にしか入れません。一層目に濾材、二層目には何も入れず、そして三層目に循環ポンプです。

二層目に何も入れ無いのは一層目の濾材を通過した水が、必ずしも均一に通過して二層目に移動しているとは思えません。均一に通過して無いのに均一に濾過されているとは思い難く、その水を直接水槽に入れたく無い為に二層目には何も入れません。(二層目で混ざり三層目で均一になる)

そして三層目の水を水槽に送ると言うこだわりです。大雑把な割にはこんな所でこだわってます。

ナチュラルシステム
ここからは参考までに

濾過槽などの濾過装置を使わない自然な方法で、と言う事になっていますが実際はプロテインスキマーや添加剤が必要だったり、システムが大がかりになったりと、設備投資やランニングコストでのデメリットも大きく、自然な方法=ナチュラルシステム 疑問です。

モナコ式
日本での最初は江ノ島水族館でした。その当時は担当の方も「指示どうりやっているだけでまだよく分からないんです」と言われ、説明されたのは底砂の見えている部分はほんの一部で、その下に凄く分厚く砂の層が有り、そこは真水ですって言われたような記憶が・・・。かなり昔の話なので記憶が定かでは無いのですが。

ベルリン式
サンプといわれる水溜糟と大型のプロテインスキマーや添加剤、水槽内はライブロックでレイアウトと言うお決まりのスタイルです。

アルジスクラバー
海藻を繁殖させ定期的に収穫し、海藻が吸収していた窒素を除去するという、名付けて海藻除去システムとでも言いますか。

お勧めは

テーマがいちばん簡単な飼い方ですのでオーバーフロー式です。濾過は底面式ではなく3層式で、高額になりますが動くインテリアとしての価値はあると思います。リビングや玄関などにワンポイントとして置きやすい、45センチ位の小型水槽の場合は濾過面積が多く取れる底面式のオーバーフローが良いでしょう。